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相談事例

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相談事例

これまでに当事務所にいただいた、税にまつわる相談事例をご紹介します。

Q. 15年前に取得した土地を売却します。しかし取得費を算出する契約書・領収書をなくしてしまい、譲渡所得が計算できません。このような場合のための特例はありますか?

A. 譲渡所得金額を計算するにあたって、収入金額から差し引く譲渡資産の取得費は、その資産の取得に必要な金額、並びに設備費および改良費の合計額のことを指します。
この場合でいうと、土地の取得費には購入代金以外にも、取得後の埋め立てや土地盛り、切土、地ならし、防壁工事など、土地の造成や改良にかかった費用も含まれます。
このケースにおいて取得費算出に必要な書類がない場合は、「概算取得費」の特例にならって計算を行います。収入金額の5%相当額が取得費となります。
本事例の場合15年前に取得した土地ですので、実際取得価格で取得費を算出した方が有利といえるでしょう。

Q. 孫と養子縁組手続きをした場合、孫への贈与財産については「相続時精算課税」の制度を選択適用できると聞きました。適用を受ける場合はどんな点に注意すればいいですか。

A. 平成15年度の税制改正により、贈与による財産の取得者は、従来の暦年単位での課税方式(暦年課税)ではなく、「相続時精算課税」の適用を受けられるようになりました。この制度が適用されるのは、以下の条件に当てはまる方です。

受贈者は、贈与者の推定相続人である直系卑属の中で、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の方。贈与者の推定相続人は、贈与日に最先順位の相続権(代襲相続権含む)を有している方を指し、判定はその贈与日に行われます。

そのため年の中途で推定相続人となった場合は、推定相続人になった以後の贈与財産についてのみ、相続精算課税の適用が受けられます。

Q. 「住宅取得などのための時限的な贈与税の軽減措置制度」の概要を教えてください。また、相続時精算課税制度とはどのように関連しているのでしょうか。

A. この制度の狙いは、住宅資金の生前贈与を促すことで、高齢者の資産を活用した住宅の需要を生む点にあります。

(1)適用期限
平成21年1月1日~平成22年12月31日までの2年間
(2)非課税枠
500万円
(3)贈与者
親・祖父母等(年齢制限はなし)
(4)受贈者
子・孫
(5)受贈者の年齢制限
贈与年の1月11日で満20歳以上
(6)住宅等条件
①自己の居住用家屋の新築・取得
②一定の増改築・工事の費用が100万円以上であること
③居住要件
贈与資金取得日の翌年3月15日までに取得居住すること
(7)利用回数
2年間で500万円まで

この制度において、110万円の贈与税基礎控除に500万円を足した金額(=610万円)までは課税対象となりません。また、贈与者について3年以内に相続が発生した場合も、500万円を加える必要はありません。相続税を計算するうえでも有利な取り扱いといえます。
相続時精算課税の適用を受ける場合は、通常型の2,500万円に500万円を上積みした金額(=3,000万円)の控除が可能です。
そして住宅取得資金贈与の特例型の場合、4,000万円まで控除できます。相続時に500万円を加算する必要はありません。

Q. 大学医学部に入学した孫の入学金・授業料を、祖父の私が支払っています。相当な金額なのですが、孫や子に対する贈与とみなされ贈与税が課せられる可能性はありますか。

Q. 扶養義務者相互間においては、生活費・教育費のために贈与により取得した財産で、通常必要と認められるものについては非課税となります。
このケースでは、祖父からの孫に対する教育費の贈与となります。その親族関係は直系血族で、祖父と孫とが生計をともにしているかに関係なく、相続税法の取扱通達で定められた教育費に充てるための贈与であると明らかならば、贈与税は課せられません。孫の親(祖父の子)の収入の有無による変更もありません。

Q. 父の死亡で、相続人の妻が3,000万円の生命保険金を受け取りました。ほかの相続人としては、子が2人います。この場合妻が受け取った生命保険金は、遺産分割の対象にはならないのでしょうか。

A. 被相続人である父が、自身を保険契約者および被保険者とし、共同相続人の一人(この場合は妻)を保険金受取人とした生命保険契約での死亡保険金の請求権は、保険金受取人が自己の固有の権利として得るものです。この請求権は、被相続人から引き継ぐものではないため、相続財産の対象にはなりません。従い遺産分割の対象にもなりません。
しかし相続税法では、相続財産ではないがそれと同様の経済効果を持つものには「みなし相続財産」として相続税が課税されます。そのため非課税部分を除く額に対しては相続税が課せられます。

Q. 父は生前に知人の連帯保証人(銀行からの借入金2,000万円)となっていました。この度父が死去し、相続が発生しました。債務控除はできるのでしょうか。

A. 保証債務は、一般的に保証人が死亡した場合には相続の対象となります。
相続税において「債務控除」の対象となる債務は、①被相続人の債務で相殺開始時に存在するものであり、②確実であると認められるものです。そのため保証債務は、原則債務控除の対象にはなりません。ただし相続開始時に、主たる債務者が弁済不能状態であるために、保証債務者がその債務を履行しなければならず、なおかつ主たる債務者に求償をしても返還を受けられる見込みがないのであれば、主たる債務者の弁済不能額については債務控除の対象とされます。

Q. 生前に父が土地の売却契約を締結していましたが、引渡しの前に死亡しました。父の相続財産はどのような形で評価されますか。契約内容は次のとおりです。①売買価格5,000万円②相続税評価額3,500万円③手付金500万円

A. 土地等の売買契約中に相続が発生した際の、相続財産の評価におけるポイントは、売主または買主の保有財産の種類です。
売主が死亡した場合であれば、その所有財産が土地なのか、もしくは売買代金の請求権なのか、ということです。
課税庁では、売主に相続が発生した場合、相続で取得した財産はその売買契約に基づく相続開始時の残代金請求権というふうに定めています。このケースでは、相続財産は残代金請求権4,500万円となります。

Q. 近年、政治家への巨額の資金提供は貸付か贈与かといった問題について、マスコミで大きく取り上げられています。 税務の分野においては、こうした資金提供が貸付か贈与かについては、どういった基準で判定するのでしょうか。

A. 親子、夫婦、祖父母・孫といった関係下の場合、表向きには貸付とされていても、「出世払い」または「あるとき払いの催促なし」などといったように、実質的には贈与と同等のケースもあります。
税務の分野では「課税の公平」といった見解から、形式的に貸付であろうと、実質的に贈与と判断されうるものについては注意を払う必要があります。
こういった判断を避けるために、借金理由や返済能力の有無、返済の確実な履行などの証明となる、源泉徴収票や確定申告書の控え、所得証明書などといった客観的証拠を用意しておきましょう。

Q. 税制改正大綱によると、住宅取得資金贈与の非課税措置が拡充されるとあります。制度の概要について教えてください。

A. 住宅着工戸数が低水準の推移を続けることを踏まえて、高齢者の眠れる金融資産を活用することで、若手世代等の住宅取得を支援する狙いを持った措置です。詳細は下記のとおりです。

直系尊属(両親・祖父母)から受け取る住宅取得資金において、その非課税限度額(現行500万円)を以下のとおり引き上げます。
①平成22年中の贈与 1,500万円
②平成23年中の贈与 1,000万円

暦年課税の場合であれば、基礎控除110万円と合わせて平成22年は1,610万円、平成23年は1,110万円まで非課税枠が増加します。しかし、受贈者の合計所得金額が2,000万円以下の場合に限ります。

Q. 前の質問に関連して、相続時精算課税の特例を適用する場合について、制度がどのように関わるのか教えてください。

A. 現行されている相続時精算課税制度において、住宅資金の贈与の特例については下記のとおりとなっています。

父母(年齢制限なし)から受け取る住宅取得資金の非課税枠は4,000万円(2,500万円+1,000万円+500万円)です。例えば5,000万円の贈与があったならば、非課税枠外の1,000万円には一律に20%の税率が適用されるため、贈与税額は200万円になります。

この度の改正で、「贈与者の年齢65歳未満」といった条件は、2年間延長することになっています。また住宅資金贈与の特例控除に1,000万円を上乗せする特例が廃止されたため、平成22年中の贈与非課税限度額は1,500万円、平成23年中は1,000万円となります。

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