特例事業承継税制
目次
- ○ 特例事業承継税制について
- ・抜本的な事業承継税制改革
- ・認定経営革新等支援機関とは
- ・今回の改正のポイント
- ・特例事業承継税制適用に必要な「特例承継計画」とは?
- ・事業承継を成功させるために大切な5ステップ
特例事業承継税制について
平成30年度の税制改正で誕生した「特例事業承継税制」について解説いたします。
後継者への自社株の引継ぎを、課税なしで行える点が大きなポイントです。
申請手続きは令和5年3月31日までとなっています。
当事務所ではこの改正内容を踏まえたうえで、貴社の永続的繁栄のために、円滑な事業承継をご支援します。
抜本的な事業承継税制改革
平成30年度の税制改正では、事業承継における贈与税・相続税納税を猶予する事業承継税制が大幅に改正され、特例措置(10年間限定)が設けられました。
これにより、自社株承継時の納税割合が0になり、さらにこれまでは大きなハードルとなっていた雇用確保要件も、実質撤廃となりました。
特例事業承継税制は、認定経営革新等支援機関の指導・助言のもと作成した「特例承継計画」を各自治体へ提出することで適用が認められます。提出期間は平成30年4月1日~令和5年3月31日の5年間です。
認定経営革新等支援機関とは
中小企業・小規模事業者の多様化・複雑化する経営課題に対して事業計画策定支援等を通じて専門性の高い支援を行うため、税務、金融及び企業の財務に関する専門的知識(又は同等以上の能力)を有し、これまで経営革新計画の策定等の業務について一定の経験年数を持っているといった機関や人(金融機関、税理士、公認会計士、弁護士など)を、国が「認定経営革新等支援機関」として認定しています。
(中小企業庁資料『認定経営革新等支援機関による支援のご案内』より抜粋)
今回の改正のポイント
【事業承継税制の現行(一般)・特例の相違点まとめ】
●対象株式
<現行>発行済議決権株式総数の3分の2
<特例>全株式
●相続時の猶予対象評価額
<現行>80%
<特例>100%
●雇用確保の要件
<現行>5年平均80%維持
<特例>実質撤廃
●贈与等を行う者
<現行>(改正前)先代経営者のみ・(改正後)複数株主
<特例>複数株主
●後継者
<現行>後継経営者は1名のみ
<特例>後継経営者は3名まで(10%以上の持株要件)
●相続時精算課税
<現行>推定相続人等後継者のみ
<特例>推定相続人等以外も適用可能に
●特例経営承継期間後の減免要件の追加
<現行>民事再生・会社更生時の評価額で相続税を再計算し、超過分猶予税額を免除
<特例>譲渡・合併による消滅・解散時を追加
●特例承継計画の提出
<現行>不要
<特例>必要(期間は平成30年4月1日から5年間)
●先代経営者からの贈与期間
<現行>なし
<特例>平成30年1月1日~令和9年12月31日
【改正の4つのポイント】
●対象株式が100%に
現行では対象株式の限度は、発行済議決権株式総数の3分の2とされています。本特例では発行済議決権株式総数の100%が対象となりました。
●相続時猶予対象が株式評価額100%に
現行では80%ですが、本特例では、適用対象となる株式の評価額の100%に相当する金額に対して、相続税額が猶予されるようになりました。
●雇用確保要件の実質的撤廃
5年間の平均従業員数が、贈与時または相続時の80%を下回ったケースにおいても、認定経営革新等支援機関の意見の記載がある「下回った理由を記載した書類」を提出すれば、認定が取り消されません。つまり、雇用確保要件は実質的に撤廃されました。
●受贈者の範囲が拡大
現行では適用対象の後継者は、筆頭株式の代表者のみとされています。本特例ではその対象は承継計画に記載のある代表権を有した後継者とされ、発行済議決権株式総数10%以上を保有している上位2名または3名となっています。
特例事業承継税制適用に必要な「特例承継計画」とは?
承継計画には、会社名・先代経営者名・後継者名(3名まで)事業内容・承継時までの経営の見直し・5年間の承継実施内容・認定経営革新等支援機関等による所見などを記載する必要があります。
【特例承継計画の記載事項】
・会社について
・特例代表者について
・特例後継者について
・特例後継者が、特例代表者保有の株式等を取得するまでの期間における経営計画
・特例後継者が株式等を承継後の、5年間の経営計画
・認定支援機関による所見等(指導や助言の内容について)
事業承継を成功させるために大切な5ステップ
「特例承継計画」は自社の経営状況や資産をしっかりと分析したうえで、その強みに特化した内容で作成する必要があります。早期提出が腰を据えた事業承継を助けるでしょう。
「特例承継計画」を作るにあたり、認定経営革新等支援機関の関与は必要不可欠となっています。
適用対象となる企業規模は業種で異なります。さらに適用を受けられる経営者・後継者の要件もあり、事業承継期間中にも自治体や税務署に提出する書類等があるなど、制度の適用を受けるまでには多くの注意点が存在しています。
当事務所が最後までくまなくサポートし、スピーディーな事業承継と円満な事業存続・発展をお手伝いいたします。
【事業承継を成功させるために大切な5ステップ】
①経営者の気づき・動機付け
「なんとなく」で始められるほど、事業承継は簡単なものではありません。まずは真剣に考えることが事業承継のスタートです。しっかりとした戦略的思考をもって経営計画を用意し、今後の経営のあり方に真剣に向き合えば、自然と理想の事業承継をイメージできるでしょう。
②現状の分析・把握
会社の状態をくまなく分析・把握しましょう。経営者であれば当たり前に知っていることでも、後継者にとってはそうではないことも多くあります。現状分析を行ったうえで今の会社の強み・弱みをしっかりと後継者に伝え、強みを伸ばすためにどうすればいいかを練っていきましょう。
③方向性決定
分析の結果、親族外承継を採用せざるを得ない場合もあります。また、後継者が見つからないといった場合は、売却も視野に入れる必要があります。
④事業承継計画の策定およびスケジュール化
いつ、誰が、何を行うかを決めてスケジュール化していきます。目的・手段をきちんと整理し、まとめていく必要があります。
⑤計画遂行および見直し
承継計画ができあがれば、あとはその通りに実施していくのみです。経営環境が変われば、当然想定外のことも生じるでしょう。その都度柔軟に計画を見直して、最適な対応をしていくことが求められます。
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